ニュースでは「タクシー運転手が職を失った」と目にするが、夜の新宿はタクシー渋滞が発生するほど賑やかで、不景気とは無縁の華やかさだ。 しかし、千鳥足で歩く娘を探しに路地に入れば立ちんぼと呼ばれる身売りの女が目に留まる。 同じ若い娘でも、華やかな着物やドレスで着飾った高嶺の娘と、立ちんぼと呼ばれる底辺の娘と格差がある。 男で言うならば、清潔感のあるスーツに高級時計を身につけ外車に乗る男と、私のように作業着姿で安物のデジタル時計を身につけ、黒ナンバーの軽バンに乗る男では格差がある。 立ちんぼの娘に支払う金すらない私のような男は、華やかな娘とは無縁の世界に生きている。 街ゆく姿を眺めているだけで、あの華麗な衣服に触れることすら出来ない。 華麗な衣装で歩く若い娘共は、すれ違う時に私を避けて歩く。 まるで異臭を放つ、動物とすれ違うかのように。 だから日々願っていたのだ。 小汚いであろう私が華麗に着飾った娘を汚してやる瞬間を。 この日は夜の9時過ぎまでに200個以上の荷物を配りきり、疲労感と葛藤しながら新宿の街を徘徊していた。 千鳥足で歩くミニスカートの娘と、ジーパン姿で蹲る中年の女を連れ込もうとしたが失敗に終わった。 その後、風俗スナック、キャバレー、ホストクラブが密集する地域にある自動販売機が2台並ぶ一角で、下着が見えそうな姿で蹲る若い娘を見かけたのだ。 近づいてみると髪の毛は長いが赤毛のようで、深緑の上着に派手な銀色のハイヒール姿。 この寒さの中、銀色のハイヒールで足を出しているなど夜の店の女に違いない。 よく見れば、桃色のドレスを着ていたのだ。 年齢は20代後半から30代前半ほどに見え、少し気の強そうな顔立ちだが美しい。 無意識にも私の股間は熱くなり膨張し出していた。 この娘は恐らく勤務中、飲み過ぎてはいるが冷ましに外へ出たに違いない。 だが、ここで怖気付いては目の前にいる華麗なドレスを汚すことはできず、また明日の厳しく辛い配送業務が待つだけだ。 不安が脳裏をよぎる中、娘に勤めている店の名前を尋ねた。何と言ったかは忘れたが、呂律が回らず横文字の名前を言われた。 華麗な夜の店の名など、私が知るはずもない。 […]